『サーフズ・アップ』
●製作総指揮:ジェニー・フュール 製作:クリストファー・ジェンキンス 共同製作:リディア・ボッテゴニ 監督:アッシュ・ブラノン、クリス・バック 脚本:ドン・ライマー、アッシュ・ブラノン、クリス・バック、クリストファー・ジェンキンス 原案:クリストファー・ジェンキンス、クリスチャン・ダーレン 音楽:マイケル・ダナ
●出演(声):シャイア・ラブーフ、ジェフ・ブリッジス、ズーイ・デシャネル、ジョン・ヘダー、ジームズ・ウッズ、ディードリック・ベーダー
●2007年/アメリカ/85分/12月15日 日本公開
●配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
●出演(声):シャイア・ラブーフ、ジェフ・ブリッジス、ズーイ・デシャネル、ジョン・ヘダー、ジームズ・ウッズ、ディードリック・ベーダー
●2007年/アメリカ/85分/12月15日 日本公開
●配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
親たちが、『ハッピー・フィート』のペンギンの真似をしてタップダンスのステップをふむ子供たちをやっと静めることができたと思ったら、今度は、南極でサーフィンをするペンギンのアニメーション映画がやって来た。『サーフス・アップ』は、去年の『ハッピー・フィート』のように、仲間たちが仰天するぐらい大きい夢を持った可愛らしいペンギンのはみ出し者の物語だが、この作品ではそのストーリーがモキュメンタリー・スタイルで語られる。仮想の撮影スタッフが居たり、“手持ち”カメラで撮影されたようなシーンがあったりして、この映画にはクリストファー・ゲストの初期の作品のような楽しさがある。
子どもはもちろん、
親やサーファーも楽しめるスタイル
現在のペンギン・ブームは、『皇帝ペンギン』がオスカー受賞の栄誉を受けるよりもずっと前から始まり、『マダガスカル』の軽口をきく4羽の密航ペンギンたちで人気が再燃した。『サーフズ・アップ』では、ペンギンたちは色彩を欠いた南極から、世界中のトップクラスのサーファーたちが選手権のために集合する熱帯の島、ペングー・アイランドへと移送される。
温かみのあるユーモアと、“勝つことだけが全てではない”というメッセージを持つストーリーは、若年層の観客向けではあるが、モキュメンタリーという仕掛けは、もしそういう仕掛けが無かったらしゃべる動物のアニメーション映画、とりわけペンギンが出てくる映画にはウンザリしている親たちを楽しませてくれるだろう。ティーンの観客たちは冷遇されたかたちになっているものの、PGレーティングが付けられる理由となった、流行の先端をいくようなユーモアと共に、サーフィンに詳しい若者たちにとっては、サーフィンの名人ケリー・スレイターとロブ・マチャドがペンギンとしてカメオ出演しているといったお楽しみも用意されている。
温かみのあるユーモアと、“勝つことだけが全てではない”というメッセージを持つストーリーは、若年層の観客向けではあるが、モキュメンタリーという仕掛けは、もしそういう仕掛けが無かったらしゃべる動物のアニメーション映画、とりわけペンギンが出てくる映画にはウンザリしている親たちを楽しませてくれるだろう。ティーンの観客たちは冷遇されたかたちになっているものの、PGレーティングが付けられる理由となった、流行の先端をいくようなユーモアと共に、サーフィンに詳しい若者たちにとっては、サーフィンの名人ケリー・スレイターとロブ・マチャドがペンギンとしてカメオ出演しているといったお楽しみも用意されている。
スポーツ専門チャンネルのニュースの様な映像
半分アドリブのようなインタビューと、スポーツ・チャンネルESPNのようなスタイルの報道が混ざり合った冒頭の映像で、『サーフズ・アップ』は、ペンギンが発明したということになっているサーフィンの歴史をひもとく。
「必要なのは流木か氷の塊。それだけで波に乗れるのさ」と説明するのは、主役のコディ・マーヴェリック。彼のワクワクした気分は観ている方までワクワクさせるし、音楽と傷だらけの16mmフィルムの映像の組み合わせは鳥肌ものである。(『グラインドハウス』に出来ることなら、アニメーションのペンギン映画にも出来るのだ。)新進スター、シャイア・ラブーフが声を担当しているコディは、サーフィンの信奉者で非常に好感が持てるキャラクターだという印象を残す。
ガンマイクがショットの中に入って来てしまったりしながら、「サーフィンの他に特技は?」とカメラに映らないところに居るインタビュアーが促すと、コディは「たとえば歌って踊れるとか?もちろんだね!」と笑い飛ばす。このジョークは、『ハッピー・フィート』を小ばかにしているというよりは、環境に優しいメッセージなどが無くても、『サーフズ・アップ』は『ハッピー・フィート』よりもふざけた映画などではないということを示唆するものである。おおらかな伝説的サーファー“ビッグZ”(ジェフ・ブリッジス)がコディの指南役になること(そしてロビン・ウィリアムスがキャストされていないこと)で、コディの成長の過程はずっと穏やかな軌跡をたどって描かれていく。
「必要なのは流木か氷の塊。それだけで波に乗れるのさ」と説明するのは、主役のコディ・マーヴェリック。彼のワクワクした気分は観ている方までワクワクさせるし、音楽と傷だらけの16mmフィルムの映像の組み合わせは鳥肌ものである。(『グラインドハウス』に出来ることなら、アニメーションのペンギン映画にも出来るのだ。)新進スター、シャイア・ラブーフが声を担当しているコディは、サーフィンの信奉者で非常に好感が持てるキャラクターだという印象を残す。
ガンマイクがショットの中に入って来てしまったりしながら、「サーフィンの他に特技は?」とカメラに映らないところに居るインタビュアーが促すと、コディは「たとえば歌って踊れるとか?もちろんだね!」と笑い飛ばす。このジョークは、『ハッピー・フィート』を小ばかにしているというよりは、環境に優しいメッセージなどが無くても、『サーフズ・アップ』は『ハッピー・フィート』よりもふざけた映画などではないということを示唆するものである。おおらかな伝説的サーファー“ビッグZ”(ジェフ・ブリッジス)がコディの指南役になること(そしてロビン・ウィリアムスがキャストされていないこと)で、コディの成長の過程はずっと穏やかな軌跡をたどって描かれていく。
表情豊かなキャラクターと
実写にはできないカメラワークが見所
この2本の映画の最も大きな違いはアニメーションのスタイルである。『ハッピー・フィート』の監督、ジョージ・ミラーは写真のようにリアルな描写を好むアプローチを取ったゆえ、静止フレームの画像はナショナル・ジオグラフィック誌の写真と言っても通りそうなほどである。一方、『サーフズ・アップ』の監督アッシュ・ブラノン(『トイ・ストーリー2』)とクリス・バック(『ターザン』)は、ペンギンのキャラクターを擬人化している。デザイン的には、必ずしも最近の他のCGアニメーションほどは印象的ではないが、ボディ・ランゲージと目の表情は、これまでの作品の中で最も表情豊かなものの1つである。
アニメーションは、ノンフィクション映画製作を皮肉るには理想的な種類の映画である。どんな人間でもアニメーションと実際の映像とを見間違えることはあり得ないからだ。アニメーションは、便宜性の点から言っても寛容である。ストーリーの本筋から脱線しても許されるだけでなく、現実にはいかなるカメラでも絶対撮り得ない難しいショットが撮れるからだ。たとえば、コディとビッグZが夕陽に向かって完璧なチューブの波に乗るクライマックス的なシーンなどはその1つである。
アニメーションは、ノンフィクション映画製作を皮肉るには理想的な種類の映画である。どんな人間でもアニメーションと実際の映像とを見間違えることはあり得ないからだ。アニメーションは、便宜性の点から言っても寛容である。ストーリーの本筋から脱線しても許されるだけでなく、現実にはいかなるカメラでも絶対撮り得ない難しいショットが撮れるからだ。たとえば、コディとビッグZが夕陽に向かって完璧なチューブの波に乗るクライマックス的なシーンなどはその1つである。
リアルな波と手持ちカメラ撮影の
臨場感を作り出したCG技術
ソニー・ピクチャーズ・アニメーションの2本目の映画として、『サーフズ・アップ』は、ルックス的にも感覚的にも去年の『オープン・シーズン』とは全く違う。『サーフズ・アップ』は、キャストによるグループ録音セッションの恩恵を受けている。俳優同士が実際に会って一緒に仕事することによって、ジェームズ・ウッズとジョン・ヘダーのような俳優たちが互いに気の利いたことを言い合ったりすることができ、台本無しでこそ生み出される質を持つかけ合いの実現に成功している。
波がちゃんとそれらしく見えるよう描くために多大な努力が費やされたが、この映画の真の新機軸は、手持ちカメラでの撮影に近いような映像を作り出したことである。この技術によって、監督たちは、実写撮影でするように各ショット内での動きを“発見”することができるようになった。この技術によって、気が利いたギャグも数多く作り出すことができた。その顕著な例は、コディの恋のお相手で救助員を務めるラニ(ズーイー・デシャネル)がインタビューを受けている最中、カメラは突然、彼女の顔からパンして離れ、彼女の肩越しに幼いペンギンが頭まで水に浸かって溺れかかっているのをズームで捉えるというシーンである。
サーフィン音楽のスタンダード・ナンバー満載のサウンドトラックが流れる間にも、相棒のチキン・ジョー(ヘダー)やライバルのタンク・エヴァンズ(ディードリック・ベーダー)といったキャラクターたちが盛り上げてくれるコミカルな息抜き的シーンが、この映画に絶えずエネルギーと笑いを注ぎ込んでいる。
波がちゃんとそれらしく見えるよう描くために多大な努力が費やされたが、この映画の真の新機軸は、手持ちカメラでの撮影に近いような映像を作り出したことである。この技術によって、監督たちは、実写撮影でするように各ショット内での動きを“発見”することができるようになった。この技術によって、気が利いたギャグも数多く作り出すことができた。その顕著な例は、コディの恋のお相手で救助員を務めるラニ(ズーイー・デシャネル)がインタビューを受けている最中、カメラは突然、彼女の顔からパンして離れ、彼女の肩越しに幼いペンギンが頭まで水に浸かって溺れかかっているのをズームで捉えるというシーンである。
サーフィン音楽のスタンダード・ナンバー満載のサウンドトラックが流れる間にも、相棒のチキン・ジョー(ヘダー)やライバルのタンク・エヴァンズ(ディードリック・ベーダー)といったキャラクターたちが盛り上げてくれるコミカルな息抜き的シーンが、この映画に絶えずエネルギーと笑いを注ぎ込んでいる。

































