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意外性溢れる佳作

2007/12/25

●監督:サム・ガルバルスキ 原案・脚本:フィリップ・ブラスバン 撮影監督:クリストフ・ボーカルヌ 音楽:ギンズ 編集:ルド・トロフ
●出演:マリアンヌ・フェイスフルミキ・マノイロヴィチ、ケヴィン・ビショップ、シボーン・ヒューレット、ドルカ・グリルシュ
●2006年/イギリス・フランス・ベルギー・ドイツ・ルクセンブルク/103分/12月8日よりBunkamuraル・シネマにて日本公開
●配給:クレストインターナショナル

予想外の佳作

 これはちょいとした拾いものの佳作である。性風俗店の話で、とってもやわらかい手で男のアレを揉んでくれるおばあさんが女主人公だというから、悪趣味な下卑た映画じゃないかと思っていたのだが、見た人がたいてい、なかなか面白いですよ、と言う。そして見たらじっさいそうだった。
 ロンドンの郊外に住むマギーというおばあさんがその女主人公である。難病の孫がいて、急いでオーストラリアの病院で手術を受けさせなければならない。そのために相当な金が必要である。たまたま見かけたロンドンのいかがわしい店で、おばあさんのアルバイトにしては途方もない収入のある仕事を見つける。密室の壁に穴があいていて、そこから手をのばして壁の向うに立っている男のアレを揉んであげるのである。
 まあ、とんでもないお仕事だが、かわいい孫の命を思えば背に腹はかえられない。意外や彼女の掌のやわらかさは絶品で、壁の向うでは男たちが列をつくって待っているということになる。しかし彼女のこのアルバイトの真相がご近所の奥さんたちに知られることになってちょっとしたさわぎになる。息子もそんな売春みたいなことの金は使えないと怒るが、おばあさんは孫の命のほうが大事だとつっぱねる。

ポルノふうの展開のようで地道な庶民映画

 なんだかポルノふうの展開のようだが、映画のつくりとしてはあくまでも地道な生活の苦労の味わいのする庶民映画、ホームドラマのタッチである。主役のマギーを演じるマリアンヌ・フェイスフルにしてからが、ほんとにどこにでもいそうな、お色気などとはあまり関係なさそうな地道な感じの人だし、亡くなったご亭主ともそっちのほうでは特別な感激はなかったみたい。それが孫いとしさで心をこめて手のひらの技にいそしんでゆくというところが、けっこう悪くないユーモアになっている。
 この風俗店の主人(ミキ・マノイロヴィチ)は一見してやくざっぽい。しかし根はさほどワルでもなさそうで、これが彼女に本気で惚れてきて、まじめなロマンスの香りがただよいはじめるところで孫の手術もうまくゆく。メデタシ、メデタシ。

往年のスターの意外な再起

 フィリップ・ブラスバンのストーリーの面白さ、サム・ガルバルスキ監督の巧みな演出があってのことだが、この映画の成功はまずこのおばあさんを本当に気のいいやさしい女性としてさらりと演じたマリアンス・フェイスフルあってのことだろう。1960年代にはスターで、「バーバレラ」その他の出演作があり、歌手としても活躍していた。ドラッグ問題でスターの座を去って長いが、意外な再起である。

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