●監督:ロッド・ハーディ 脚色:マーク・ロゼンバーグ 原作:マイケル・ヌーナン 撮影:デイヴ・コンネル 編集:ダニー・クーパー 製作:リチャード・ベッカー 共同製作:ジェイ・サンダース 製作総指揮:ジョナサン・スタインマン、ハル・ギャバ
●出演:ダニエル・ラドクリフ、リー・コーミー、クリスチャン・バイヤーズ、ジェイムス・フレイザー、テリーサ・パルマー、ビクトリア・ヒル
●2007年/オーストラリア/103分/2007年12月1日より日本公開
●配給:ワーナー・ブラザース
(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc.
●出演:ダニエル・ラドクリフ、リー・コーミー、クリスチャン・バイヤーズ、ジェイムス・フレイザー、テリーサ・パルマー、ビクトリア・ヒル
●2007年/オーストラリア/103分/2007年12月1日より日本公開
●配給:ワーナー・ブラザース
(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc.
ダニエル・ラドクリフ主演ということで、これからずっと“ハリー・ポッターが女と寝る映画”として知られることになる運命を抱えている『ディセンバー・ボーイズ』は、ほろりとさせられるところもあるが、その展開に説得力を欠く成長物語で、映像的には良くできているが、ストーリー的には混乱している作品である。最初は子供向けの映画のように思えるが、その後、もっと大人向きでヨーロッパ好みの性的要素が不自然に継ぎ足されることによって、この映画の実体は変わっていく。このオーストラリア映画は、ヨーロッパで最も強い興行力を見せるだろう。ラドクリフが出演していることで好奇心ゆえに劇場に足を運ぶ観客が多いだろうし、DVDやTV放映などの視聴でも息の長さが期待できそうである。
"誕生日"が12月の孤児たちの海辺の夏休み
『ディセンバー・ボーイズ』は、時代を50年代に設定しているかのようだが、サウンドトラックに使用されているオーストラリアのポップ・ミュージックは60年代からのものである。オーストラリアの奥地にある孤児院に住む4人の少年たち、ミスティー(リー・コーミー)、マップス(ラドクリフ)、スパーク(クリスチャン・バイヤーズ)、そしてスピット(ジェームズ・フレイザー)は、皆、“誕生日”が12月ということで、海辺で夏の休暇を楽しませてもらっている。この4人が、八方破れのアイルランド人聖職者のスカリー神父(フランク・ギャラチャー)に連れられて、南オーストラリアの海岸に向かっていく間、大人になったミスティ(オーストラリアのベテラン俳優、マックス・カレン)のナレーションで登場人物たちの生い立ちが紹介される。目的地に到着すると、少年たちは、ひょうきんな老船乗りバンディー・マクアンシュ(ジャック・トンプソン)と暖かく歓迎してくれる彼の妻の“スキッパー”マクアンシュ夫人(クリス・マッケイド)の手にゆだねられる。
子供向けの作品と思われたところに、
突然現れるトップレス描写
映画は、4人が砂浜や丘を跳び回りながら、養子縁組されるよう願い事をしたりするシーンが続き、完全に子供向けの作品のように思えるが、その印象もトップレスのフランス人女性テリーサ(ヴィクトリア・ヒル)が波の間から姿を現すところまでしか続かない。彼女とサーカスの曲芸師の恋人、フィアレス(サリヴァン・ステイプルトン)には子供が居ないので、少年たちにとっては理想的な親の候補のように思われる。
芸術家肌で優等生ぶったミスティは、自分自身を養子の最有力候補のような立場に置くことでは優位に立つ。17歳で最年長ゆえ、マップスは自分が養子縁組されることはないだろうと考える。しかし、同じ場所に休暇のためやって来た魅力的なブロンドのティーンエージャー、ルーシー(テリーサ・パーマー)の出現によって、マップスの関心は養子縁組から逸らされる。
芸術家肌で優等生ぶったミスティは、自分自身を養子の最有力候補のような立場に置くことでは優位に立つ。17歳で最年長ゆえ、マップスは自分が養子縁組されることはないだろうと考える。しかし、同じ場所に休暇のためやって来た魅力的なブロンドのティーンエージャー、ルーシー(テリーサ・パーマー)の出現によって、マップスの関心は養子縁組から逸らされる。
エロティックな描写や大人の行動を
強調したシーンが観客を不快に
マップスが大人の男になる儀式をする前であるにも関わらず、ルーシーの態度や服装、声の調子の変化は、この映画を昔懐かしいような家族向けの作品だと思って子供たちを映画館に連れて来た保守的な親たちを警戒させるだろう。映画上の品位は保たれてはいるものの、パーマーとラドクリフとの絡みのシーンは正真正銘にエロティックであり、養子縁組を熱望するミスティの面白みに欠けるストーリーは、この映画の中で再び優位に置かれることは無い。他の男の子たちは、登場人物として印象に残ることはほとんど無いが、マクアンシュ夫人が関係する脇筋は、偽り無く感情の琴線に触れる。
飲酒や喫煙(タバコをこれほど美味しそうに吸い込む描写がなされたのはデヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』以来である)といった、大人の行動を強調して描写したシーンは、この映画が実際には大人の観客をターゲットにしたものであるということを示すというよりは、観ている者を不快にさせるだけである。
飲酒や喫煙(タバコをこれほど美味しそうに吸い込む描写がなされたのはデヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』以来である)といった、大人の行動を強調して描写したシーンは、この映画が実際には大人の観客をターゲットにしたものであるということを示すというよりは、観ている者を不快にさせるだけである。
核心部分は誠実、
しかし信憑性の感じられない物語
物語の核心部分は誠実なものであるが、製作に関しては手抜きが目立つ。ひねりを利かせた映画的な仕掛けは効を奏していないし、フィアレスとテリーサが果たして養子縁組するのかしないのかという疑問は、認識が甘く信憑性が感じられないやり方で解決される。ナレーター役と生き残った“ディセンバー・ボーイズ”たちが老人たちとして再会するフィナーレは、再び、作り手たちが映画の観客が誰であるのかについて判っていないかのような印象を残す。
映画作りをオーストラリアで学び、現在はロサンゼルスで、時として映画を監督するが主としてテレビドラマを監督してきたロッド・ハーディ(『バッファロー・ガールズ』、「Xファイル」、「犯罪捜査官ネイビーファイル」)は、むらのある仕事ぶりである。ラドクリフを除いた少年たちには、もっとしっかりした監督が必要だし、大人の俳優たちは最善の努力をしてはいるが、下手な編集がその演技を損ねている。
映画作りをオーストラリアで学び、現在はロサンゼルスで、時として映画を監督するが主としてテレビドラマを監督してきたロッド・ハーディ(『バッファロー・ガールズ』、「Xファイル」、「犯罪捜査官ネイビーファイル」)は、むらのある仕事ぶりである。ラドクリフを除いた少年たちには、もっとしっかりした監督が必要だし、大人の俳優たちは最善の努力をしてはいるが、下手な編集がその演技を損ねている。
将来が嘱望されるパーマー。
撮影もトップクラス
イギリスでの冒険的な「エクウス」の舞台出演と並んで、この映画は、ラドクリフがステレオタイプ的なキャスティングにおちいるのを明らかに避けていることを示している。パーマーは、オーストラリア製の高校もの映画『明日、君がいない』での強く印象に残る演技を基にして着実にキャリアを積んでおり、ルックスの魅力が演技力とつり合うような女優になることは必至だと思われる。
撮影はトップクラスで、オーストラリアのカンガルー島というロケーションが上手く活かされている。他の技術的なスタッフも全て良い仕事をしている。
撮影はトップクラスで、オーストラリアのカンガルー島というロケーションが上手く活かされている。他の技術的なスタッフも全て良い仕事をしている。

































