ヘッダーの始まり

グローバルナビゲーションの始まり
ホームニュース特集インタビュー動画コラムレビュー(選択中)ランキングフォトギャラリーピックアップ
最新映画情報V ブログ教えて!エンタ業界転職情報フロムジャパンV プラスメールマガジンプレゼント映画データベース
パンくず式ナビゲーション

反「スケールアップ」精神でもてなす快作

2008/05/14

●日本/117分/2008年5月1日から日本公開開始
●配給/東映

そら出たほら出たの愉しさ

©2008「相棒 -劇場版- 」パートナーズ
©2008「相棒 -劇場版- 」パートナーズ
 かわりばえしない恋愛ばなしや鬼面人をおどすたぐいの猟奇サスペンスなど、安易な企画が反復されるテレビドラマにあって、テレビ朝日の「相棒」の手だれ仕事には敬意を表さないわけにはいかない。なにぶん土曜ワイド劇場の単発企画にはじまって、まる8年もの間を持久し、そのうえで映画としても極めて好調な動員を見せているという踏ん張りようである。

 本当は毎回見ていたいぐらいなのだが、多忙にかまけて時どきチャンネルを合わせると、そのたびにはずれなしの面白さで驚かされる。正月のスペシャル版などは、たいていの番組ならば水増しなつくりになってレギュラー仕様のほうがよかったとなりがちなところを、「相棒」の場合は時間が延びたぶんだけ仕掛けもてんこ盛りの凝りようで唸らされる。昨年の「バベルの塔」も今年の「寝台特急カシオペア殺人事件!」も、「野田岩」の中入れ丼のように鰻がそら出たほら出たの愉しさだ。

シリーズでがっちりと出来上がった快い世界観

 しかもその種々のサスペンスが犯人や関係者の横顔にうまく絡んで人間ドラマに転ずるところと、それを眺めるフィルターとなるおなじみ杉下右京(水谷豊)・亀山薫(寺脇康文)のジェントルで優しいキャラクターが、ついつい視聴者が毎週帰りたくなる世界観を築いている。「刑事コロンボ」や「シャーロック・ホームズの冒険」のような海外ミステリ作品には根強いファンが多いが、これら秀逸なテレビシリーズの魅力も、謎解きのいちいちのアイディアというよりも、がっちりと出来上がった快い世界観ゆえのものだろう。

 私は「踊る大捜査線」のテレビシリーズをとても評価していたのだが、映画版はどれもなぜかあのテレビの小味さよりも大げさな「スケールアップ感」に走って、くどく間延び気味だった。だが、「相棒」は拡大枠になっても力まずにいつもの「相棒」のエッセンスはそのままだったので、もし映画になっても大丈夫なのではなかろうかという気がしていた。とはいえ、少々心配な気持ちでスクリーンに向かうと、開巻早々、アジアの某国でものものしく戦車が走り、ゲリラが邦人を襲う……。「これが『相棒』!?」と、一瞬「スケールアップ感」への危惧が走ったものの、それはまるで杞憂であった。

 確かに以後も何やら政界やマスコミを巻き込む派手な「不連続殺人事件」が連発して画面を賑やかすものの、物語の核心は「スケールアップ」どころかどんどんある過去の悲劇をめぐる人びとの思いに向けて求心化する。そして終盤、映像的には東京ビッグシティマラソンのスペクタキュラーな雰囲気が増すなか、それに反比例して犯人の怨念に焦点が合ってゆくあたりは、脚本の頑張りが見えるところだ。

力まず手を抜かずの熟練作法がうまいあんばいの和泉監督

 そして、真犯人は観てのお愉しみとしたいが、その某俳優のあまりにも熱のこもった演技は、なんと試写室の観客たちに予想外の落涙を強制するのであった(あんまり凄くて感涙というより落涙なのである)。このあたりはさすがに重たすぎて、もう少しあっさりと洒脱に終わってくれてもよかったかなというのが、本作唯一の不満点かもしれない。しかし、この犯人の悲劇を、観客の誰にも身につまされたものにすべく練られた設定は、なるほどという感じだ。つまり、犯人の動機として、日本人の大多数が報道で接してきた某重大事件を底にひき、それをもとに犯行を描きながら社会風刺も紛れさせていて、ひと工夫ありである。

 かつて『オン・ザ・ロード』という痛快まるかじりの活劇ロード・ムービーの快作を撮った和泉聖治監督だが、映画版『相棒』もあいかわらず力まず手を抜かずの熟練作法がうまいあんばいだ。そしてまた、主役二人に鈴木砂羽高樹沙耶岸部一徳らレギュラー陣も肩肘ばらず機嫌よく演じていて好ましいが、近作の楳図かずお原作『おろち』でも力演の木村佳乃がここでも颯爽と演じて愉快そうであった。

BOOKMARK Yahoo!ブックマークに登録 livedoorクリップに登録 Buzzurlにブックマーク はてなブックマークに登録   E-MAILメールで送る   PRINT印刷する


パンくず式ナビゲーション
広告エリアの始まり

フッターナビゲーションの始まり
フッターの始まり