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『時をかける少女』米公開&『着信アリ』逆輸入
角川ピクチャーズUSAに見る“邦画inハリウッド”

2008/06/14
 2007年度日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞に輝いた『時をかける少女』が13日(金)、ロサンゼルスとニューヨークを皮切りに米国で劇場公開された。一方、7月19日(土)には、2004年に日本で大ヒットしたホラー映画『着信アリ』のハリウッド・リメイク版『ワン・ミス・コール』が、日本国内で封切られる。

 日米間を行き来する2つの“邦画コンテンツ”のかじを取るのが、米ロサンゼルスに拠点を置く角川ピクチャーズUSA。同社の動きに、邦画がハリウッド進出する際のヒントが見え隠れする。

アニメ・ファンをしっかり抑え、良質な日本アニメを米国展開

米国版『時をかける少女』
米国版『時をかける少女』
 『時をかける少女』は、米国で日本アニメのテレビ放映やDVDリリース、ライセンス展開を仕掛けるバンダイ・エンタテインメントをパートナーに共同配給。アニメ・シリーズ「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」 の英語版など、過去に米国共同配給の実績がある同社について、角川ピクチャーズUSAの社長・作田貴志氏は、「作品への愛情とともに、丁寧なマーケティング展開でアニメ・ファンの心をつかんでいる心強いパートナー」と信頼を寄せる。

 ニューヨークで昨年末に開催されたファン・イベント“ニューヨーク・アニメ・フェスティバル”では、バンダイのパネルで本作の劇場公開決定ニュースが発表されると、多くのファンが熱狂していた。

 劇場公開においては、「日本アニメ・ファンを超えた一般の層にもアピールできる作品に仕上がった。だが、まずはコアなアニメ・ファンをしっかり抑えることが大切」と語る作田氏。今後は、シアトルをはじめ米国各地での公開を目指す。

米国との共同製作には、“忍耐と根気”が欠かせない

米国版『ワン・ミス・コール』
米国版『ワン・ミス・コール』
 『ワン・ミス・コール』のプロジェクトは、角川映画と米製作会社アルコンが共同出資し、製作は角川ピクチャーズUSAとアルコン、配給は米ワーナー・ブラザースという布陣で実現した。

 米国では、1月に全米2240館で公開され興収2689万ドルを記録したが、構想から公開まで4年以上の年月を要した。「海外共同製作に必要なのは忍耐と根気」と語る作田氏は、本作に限らず米国との共同製作における時間の流れをこう説明する。

 「契約段階では、続編や出版、商品化など将来、派生しうるすべての可能性を視野に入れて全権利を要求してくるため、交渉に時間がかかる。企画開発段階では、失敗の許されない金額が動いているため、GOサインを出す基準がシビアで、脚本家の選定にこぎ着けるまでに長い時間がかかる。さらに製作段階でも、同時進行している作品数が圧倒的に多く1作品に集中してくれないため、すべてにおいて返事が遅い」

海外共同製作は、日本の配給会社の救世主になるか?

日本版『ワン・ミス・コール』
日本版『ワン・ミス・コール』
 共同製作や合作の定義はあいまいで、ここ数年の間にも“日米合作”と呼ばれる作品はいくつかあった。ただし、日本出資で米国製作、米国出資で日本人監督、原作やオリジナル版は日本コンテンツで製作は完全に米国主導というパターンが多く、今回のように出資面でも製作面でも、ほぼ平等に日米が関わっているケースは珍しい。

 こうした“日米合作のハリウッド映画”を展開するメリットについて作田氏は、「洋画の興行が弱くなった日本のマーケットで、例えば2~3億円かけて中規模の作品を買い付け、プロモーションやマーケティングにコストをかけると収支が合わないことが多い」とコメント。さらに、「逆にその予算を共同製作につぎこめば、米国をはじめ海外での興収や放映権、DVD売上からの収入を得ることができる。日本のマーケット事情次第で有効な選択肢になり得る。もちろん、米国や海外で成功する作品にしなければいけないのですが」と語った。

邦画と出版物、ハリウッドに売り込みやすいのはどちら?

 現在、角川ピクチャーズUSAは、邦画のリメイクや角川が権利をもつ出版物の映画化など、数本の共同製作プロジェクトを進行中だ。「邦画のリメイクは、既に映像があるため売り込みやすい反面、原作と映画両方の関係者に対する権利処理に時間がかかる。逆に出版物の映画化は、権利処理が作家のみでスムーズだが、米国のプロデューサーへの売り込みには翻訳やシノプシスの製作など、膨大な時間をかけなければならない」

 『ワン・ミス・コール』は、1月の劇場公開後、4月にDVDリリースをしたばかりで、ケーブル局やネットーワーク局への放映権や海外配給権のセールスなど、これからが勝負になる。「最初のケースが基盤となって今後の計画が進んでいくため、この作品については最後まで見届けないといけない」と語る作田氏は、配給元の米ワーナー・ブラザースとともに、今後の行方を見守っていく。

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