ブラジル出身のフェルナンド・メイレレスの合作映画『ブラインドネス』で幕を開けたカンヌ映画祭の2日目、コンペ部門にアルゼンチンの新鋭パブロ・トラペロの“LEONERA”が登場した。トラペロは1971年生まれの36歳。1999年の長編デビュー作“Crane World”でロッテルダムやシカゴなどの映画祭で受賞し国際的に注目された。
“LEONERA”とは、スペイン語で母ライオンのこと。あるいは妊娠中か、幼い子供を抱えた女性受刑者を収容する場所を意味する。主人公は26歳の学生フリア。ボーイフレンド殺害の容疑で逮捕された彼女は彼の子を妊娠していた。父親とは死別、母親とも疎遠で家族を持たない孤独なフリアが、社会と隔絶された“レオネラ”の中で子供を産み、育てていくことで初めて自分の家族を作り上げ、たくましい“レオネラ”(母ライオン)に変貌していく。
“LEONERA”とは、スペイン語で母ライオンのこと。あるいは妊娠中か、幼い子供を抱えた女性受刑者を収容する場所を意味する。主人公は26歳の学生フリア。ボーイフレンド殺害の容疑で逮捕された彼女は彼の子を妊娠していた。父親とは死別、母親とも疎遠で家族を持たない孤独なフリアが、社会と隔絶された“レオネラ”の中で子供を産み、育てていくことで初めて自分の家族を作り上げ、たくましい“レオネラ”(母ライオン)に変貌していく。

マルティナ・グスマン
フリアを演じたのはトラペロのパートナーでもあるマルティナ・グスマン。トラペロによれば、2004年ヴェネチア映画祭に出品した“Rolling Family”の後で息子が生まれ、それがきっかけで、違った形の家族を映画にしたいと思うようになったとのこと。前作“Born and Bred”は父親の再生の物語だったが、“LEONERA”は同じテーマを母親の側から描いたものだ。トラペロの映画の面白さは、ドキュメンタリーと見紛うほど自然な演技を俳優から引き出す、卓越した演出力と共に、主人公にいくら肉薄しようと、べったりと感傷に流れるのでなく、乾いた距離感を保っているところにある。南米の映画というと、グラウベル・ローシャを代表とする荒々しいパワーで圧倒される作品か連綿としたメロドラマかを連想するが、トラペロは驚くほど洗練されたテイストを持っている。今後のアルゼンチン映画はこの人を中心に回っていくことは間違いないだろう。(5月15日、齋藤敦子)
齋藤敦子 映画評論家。パリで映画編集を学ぶ。フランス映画社宣伝部から90年にフリーとなり、ギャスパー・ノエ、ピーター・グリーナウェイの諸作品の字幕翻訳などを手がける。また「パリ快楽都市の誘惑」(清流出版)「ピアノ・レッスン」(新潮文庫)「世界の映画ロケ地大事典」(晶文社)などの翻訳書も。カンヌ映画祭には83年から参加し始め、今年で23回目となる。
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