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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2008/02/05
 決して歴史の表舞台に登場することはない、19世紀末から20世紀初頭にかけたアメリカの一時代を描く、家族、運命、権力、そして石油にまつわる壮大な叙事詩だ。

 石油採掘によって莫大な富と権力を得た一介の炭鉱労働者ダニエル・プレインビューは、さらなる鉱脈を求め息子のHWとともにカリフォルニア州リトル・ポストンへ向かう。そこは不毛の地で、街の人々はカリスマ的な神父イーライ・サンデーが主宰する教会にのみ頼って生きていた。幸運にも再び油田を掘り当てたプレインビューだったが、そのあまりに旺盛な欲望と欺瞞に満ちた心は、闘争を引き起こし、さらには人々の価値、希望、信用、そして親子の絆さえも脅かしていく。

 『マグノリア』でベルリン国際映画祭の金熊賞を獲得したポール・トーマス・アンダーソン監督が、1920年代石油産業の醜聞を暴いた名著といわれる「Oil!」をベースに自ら脚色。「彼抜きではこの映画は成立しない」という監督の熱望に応えたダニエル・デイ=ルイスが、絶大な力を手にしながらも、狂信的なまでの向上心によって自らを破滅に追い込んでいこうとする主人公プレインビューを圧倒的な迫力で演じきった。

 プレインビューは、まさに独断専行を絵に描いたような男。常に沈着冷静な戦略家で、力で相手をねじ伏せる豪腕も併せ持つ。その取りつかれたような欲望の強さは、時にはユーモラスに映るが、人間のもろさが浮き彫りになったようでどこか悲しさを誘う。デイ=ルイスの渾身の熱演は映画史に残る。独特の色彩感覚と演出法が印象的だったアンダーソン監督も、今回は腰をどっしりと据えて、孤高の生きざまを丹念につむいだ。雄大な自然の風景も、人間の小ささを的確に表現する対比として効果的だ。

製作:ミラマックス・フィルムズ、パラマウント・ヴァンテージ
アメリカ配給:ミラマックス・フィルムズ、パラマウント・ヴァンテージ
日本配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
ランニングタイム:158分
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
原作:アプトン・シンクレア“Oil!”
プロデューサー:ジョアン・セラーポール・トーマス・アンダーソンダニエル・ルピ
エグゼクティヴ・プロデューサー:スコット・ルーディン(『ノーカントリー』『トゥルーマン・ショー』)、エリック・シュローサー、デイヴィッド・ウィリアムズ
出演:ダニエル・デイ=ルイス(『マイ・レフトフット』『ギャング・オブ・ニューヨーク』)、ポール・ダノ(『リトル・ミス・サンシャイン』)、ケヴィン・J・オコナー(『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』『ヴァン・ヘルシング』)、キアラン・ハインズ、ディロン・フリーシャー

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